今日より素晴らしい明日を

心が折れたらアロンアルファでくっつける

酔っ払いとその友人たちへ

風邪気味だったが

友人と夕飯を食べに行った。

 

あたたかいものを食べて

寒気は引いたが

ノドの痛みは引かない…

降車駅で

コンビニまで行くのも面倒なので

電車に乗る前に

ペットボトルの水2本と

大きめのポカリを買って

電車に乗り、座った。

 

怠い…

座っていても水はやはり重いな…

電車、今日は特に遅く感じるな…

と思っていたとき、

 

ドアが開き、

酔っ払って明るく話す

女子たちが乗ってきた。  

 

さすが酔っ払い、

周りを気にすることなく

大きく甲高い声で話し続ける。

 

『五月蝿いっ!』

と思い、

曲を、ハードロックに変えた。

 

電車が混んできた。

さすが、金曜日だ。

外は寒いけれど、

人混みで

電車の空気がモワッとしてきた。

 

ふと顔を上げると

酔っ払い女子で

いちばん騒いでいた子が

フラフラしている。

 

『ヤバいな…』

 

と思ったけれど、

こちらも風邪気味で

荷物も重い。

次の駅で降りてくれないかな…

と願いながら、座っていた。

 

次の駅に着いたけれど、

電車は空かない。

フラフラの彼女の友人たちは

彼女を気遣うこともなく

話を続けていた。

 

終電時間までにはまだまだ時間がある。

『彼女の友人の中で誰か、

   具合悪いなら降りよう、

   と提案してくれないかな』

と思っていたが

友人たちは話に夢中で

彼女の具合を気にしないようだった。

 

再び顔を上げたら

フラフラの彼女の顔は

土色になっていた。

 

『ヤバい!!!』

 

と思い、あわてて席を譲った。

 

友人たちが

「大丈夫?大丈夫?」

と騒ぎ出し、

中の一人が

「ありがとうございます」

と言ってくれた。

 

「降りようか?」

「大丈夫・・」

 

『・・大丈夫じゃねーよ』

   ↑自分の心の声です

 

「水飲む?」

「大丈夫・・」

 

『水持ってないだろ!』

   ↑自分の心の声です

 

『・・・水、あるじゃん、私。

   ・・・・・・・・・( ̄ー ̄;)』

 

「あの、よかったら、水どうぞ」

「そんな、え、いいです…」

「遠慮している場合じゃないですから」

「お金払います」

「いえ、いいですから…」

   ↑安い水なので

       100円はもらいすぎになる

 

「ありがとうございます」

 

『吐いて

   車内が大変になるよりかはマシ』

   ↑自分の心の声です

 

彼女は座って、

少し元気になったようだ。 

友人たちと談笑するようになった。

 

その後、席が空き、

私は彼女たちから

少し離れたところへ腰掛けた。

 

途中の駅で、彼女は降りていった。

すこしだけ、元気になったようだ。

お礼はなかった。

 

次の次の駅で

彼女の友人たちが降りていった。

 

「ありがとうございました」

 

「どういたしまして」

 

自分が良いことをしたと

ひけらかしたいわけではない。

正直言って、

自分も具合が悪くて

席は譲りたくなかった。

吐かれて自分の服を

汚したくなかっただけだ。

お水代も要らない。

神社への賽銭代わりと思うことにする。

気付いていたのに

最初から席を譲らなかった

自分への嫌悪感しか残っていない。

 

けれど、

 

彼女たちへ。

 

いつか

電車で

どうしようもなく具合を悪い人を見たら

助けてあげてください。

私が席を譲ったのは一人だけれど、

見ていた彼女たちの人数分、

救われる人がいるのなら

自分も、救われる気もするから。